SHM-CD 聴き比べ

Rainbow Rising

同じ CD が 2 枚...。

レインボウ のアルバム『Rainbow Rising』(邦題『虹を翔る覇者』) です。別に「もう持ってたけど忘れて買っちゃった」とか「保存用にもう一枚」とか「プレゼント用 (布教ともいう)」じゃなくて、いやまぁそういうこともあるでしょうけれどとりあえず今回は違って、実はこの 2 枚のうちの右側のディスクは、SHM-CD というちょこっと高級なものなのです。

SHM-CD の宣伝サイトの説明によると「通常の CD とは別種の、液晶パネル用ポリカーボネート樹脂を採用。素材の透明性が格段に向上したことにより、マスター・クオリティに限りなく近づいた高音質 CDです。」とのことです。そもそも CD はデジタル情報でして、どう読んでも 0 か 1 かにしかならないからそれで音質が良くなったり悪くなったりすることはよっぽどのことでなければないんじゃないの? などと私などは即座に突っ込みを入れてしまったのですが、少し詳しい説明を読みましたらどうやら「読み取り時のエラーを少なくしてデータの精度を上げる」ということなんだそうです。そういえば数年前に死滅した コピーコントロール CD意図的にエラーデータを仕込む ことで音質を下げたりオーディオ機器を破壊したりすることがあったようですから、その逆で、読み取り精度を上げればいい音になるのかもしれませんね。

SHM-CD は高音質を謳いながらも規格としては通常の CD と変わるところがなく、今持っている CD プレイヤーでふつーに聴けるところがポイントです。高音質なオーディオ媒体としては Super Audio CD なるものがあるのですが、こちらは別に再生機器が必要だったせいで「それなんだっけ?」ってくらいにまったく普及していません。SHM-CD はその点を考慮しつつ、ダウンロード等でデータだけを入手する最近の潮流に対抗できるだけの ウリ を作りたかったのだと思います。確かに、聴く環境をまったく変えずに音質を向上させることができるのであれば、嬉しいですね。

ですが、いちばん重要なことは「どれくらい音質の向上が見られるか」というところです。私は以前から SHM-CD の存在は知っており、レコード屋さんに同じアルバムで普通の CD と SHM-CD が両方あったりしたときにどちらを購入しようかといつも悩んでいました。だって、SHM-CD のほうが 1000 円も高いんですもの。先日、既に所有のアルバムを SHM-CD で買い直したのは、メーカーが SHM-CD 普及キャンペーンのごときものを催していて、有名なミュージシャンのアルバムが 2000 円で販売されていたのを発見したからです (モノによっては 1000 円もありました)。初見のものを何枚か手にしたのに加えて「2 枚も持ってる意味があるのかどうかは微妙だけれど... 好きなアルバムだしとりあえず一度聴き比べてみよっか!」と買ったのが写真に載せている Rainbow Rising です。レッド・ゼッペリンの 4 枚目 (「天国への階段」が入っているやつ) にしようか悩んだんですけどね!

で、ようやく聴き比べの感想ですよ。

......。

う~ん... 耳を凝らしてものすごくよく聴いてみると、音が良くなっている 気がします。低音・パーカッション類は確かに輪郭が明確になっている (モコモコした感じが取れた) のが分かりました。ちょっとだけですけれど。低音は普段聴きとり難いところなので、効果が分かりやすいですね。ただ、わたしがいちばん重視しているヴォーカルについては、(歌手にもよるでしょうけれど) 変わった気がしません。商品の中に同梱されていたアオリによると、高級なオーディオプレイヤーのほうが効果を実感しやすいそうです。これは...「それくらい細かいニュアンスを再現しちゃうほどのイイヤツじゃないと意味ないよ」と解釈してもいいかもしれません...。ウチの音響機器は中級くらいかな。いちおう付け加えておくと、今回はロックで聴き比べしたのですが、クラシカルやジャズなんかのほうがもっと効果がわかりやすくなるんじゃないかな、と思いました。まぁ、クラシカル好きな人は SACD 聴いてると思うけれどね。

SHM-CD の印字
ちなみに SHM-CD はディスクの真ん中のところに印字があります

お値段が張るので人様にオススメするほどではないというのが正直なところですが、一般化してもっと安くなってくれるとちょっと嬉しいですね。わたしの今後の購入の指針としては、こんな感じで行こうと思います。

最後になりますが、実は HD DVD と Blu-ray Disc の対立のように (いやそれほどでもないんだけど) SHM-CD の類似規格があと 2 つ存在します。HQCDBlue-spec CD です。醜い規格争いです。いづれも通常の CD プレイヤーで再生可能なので、消費者への影響は小さいと思われますが、規格は市場で統一されていたほうが恩恵が大きくなる場合が多いので、どれかに合わせてほしいですね!

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